2008年06月16日

第6話その1 朝の会話

 月明かりが照らし出している天篠邸の庭。
 そこにADAGIO、マスターの天篠蘭華が佇んでいる。

 時折月を見上げる表情は憂いを帯びていた。
 そんな彼女を今の窓から明かりも灯さずに見つめているのは彼女の夫、天篠綾兎とギルドメンバー・イリヤ=クインシー。
 この3人の過去は、結して、明るいものとは言えない。

「あいつ・・・まだ気にしてるのか・・・?」
「えぇ・・・私たちだって・・・気にしてないと言えば、嘘に・・・なりませんか・・・?」

 綾兎、イリヤの二人が話していると、気が済んだのかどうかは分からないが、蘭華が屋敷内に戻ろうと歩を進め始めた。

「部屋に戻ろう。蘭華が怪しんでしまう。」
「分かっています。おやすみなさい。」

 簡単な挨拶を交わし、2人は部屋に戻る。
 綾兎がベッドにもぐりこみ、少しすると、部屋の扉が静かに開き、蘭華が入ってくる。
 ベッドの近くまで来ると、綾兎が眠っていると思っている蘭華は、綾兎に向け、静かにつぶやいた。

「ごめんなさい」

と。
 それを聞いた綾兎は何も言えず、そのまま狸寝入りを通し、蘭華がベッドに入ってくると、寝ぼけたフリをして、そのまま腕に抱きこんだ。


翌朝。
posted by 姉 at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月15日

第5話 自己紹介

 はい、語り、戻りまして俺、アリスフィア=クルーニーがお送りいたします。

 俺は現在ゲフェンという街にいます。
 今まではモロクとかフェイヨンとかプロンテラとかアルベルタとかにしか行ったことがないから、物珍しくてキョロキョロと辺りを見渡してしまう。
 そして、俺はADAGIOの本部?という、マスターの自宅に向かっていた。
 ここに来る前、モロクで一悶着というかなんと言うか、ギルドメンバー?家族?そんなやりとりを目にしてしまった俺。

「綾兎さん、この子がアリスフィア君。」
「初めまして、ADAGIO副マスターの天篠綾兎と言います。」

 ニッコリ微笑み手を差し出してきた彼の手を「よろしく・・・」と言いながら握り返すが、思っていることはやっぱり綺麗な人だなぁということだった。
 このギルドって、もしかして美形の集まり?
 俺って場違いじゃね?

「かわいいでしょう?」
「そうですね」

 和やかーにお話しているマスター達に思わず俺はツッコミを入れそうになってしまったが、ブレアさんに、「天然だ。触るな。」なんていわれたのでツッコミも入れずにおとなしくしています。

『お?新しいの入ってんじゃん』
posted by 姉 at 07:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月14日

第4話 始まりの朝

 皆様、お初にお目にかかります。
 私は天篠綾兎と申します。
 今回の語りは私がさせていただくこととなりました。よろしくお願い致します。

 モロクの早朝。
 私はギルドメンバーからのWisによって目を覚ましました。
 相手はブレア=アストール。
 内容はすぐにモロクまで来て欲しいとのことでした。
 先日、騎士団より依頼を受け、その仕事をしているブレアからの連絡ということは仕事絡みということで間違いないでしょう。
 私は隣に眠っている妻(こういう表現は照れてしまいますね)の蘭華を起こさないように体を起こすと、着慣れた法衣を身にまとう。
 プリーストの中でも選ばれた者しか身につけることのできない白の法衣。ハイプリーストの称号を頂いてから随分な月日が経つものだと思います。っと、この話はまた今度にしておきましょう。
 ゴソゴソと仕度をしていると蘭華が目を覚ましたようでベッドの上にチョコンッと座りなおしていました。

「あやとさーん・・・?まだ・・・おひしゃまでてないですよー?」

 まだ眠いのか舌が回っていないようです。
 彼女を幼い頃から見ていますが、あまり進歩があるとは言えないです。勿論、私も。

「ブレアから連絡がありました。すぐにモロクに来て欲しいと。」

 そう言うと、事情を察した彼女は眠気が飛んだのか食いついてきた。しかも、心なしかその樗色の瞳はキラキラと輝いていました。


「私も行きたい!!」
posted by 姉 at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月13日

第3話 ADAGIO

 モロク宿泊の翌朝。
 俺は今まで目覚めてすぐに書類に目を通すなんてこと、経験したことがない。(普段寝起き悪いんだよね、俺)
 
「うわ・・・なんだこれ・・・」

 ベッドの上に散乱している紙を手に取り眺めてみる。
 なにやらわけのわからないことが書かれていて理解できない。
 隣のベッドをみると、真剣な表情で相方のブレア=アストールさんがこの散乱した書類の一部を眺めていた。
 ちょっとの間声をかけるのを躊躇っていると俺が起きたのにようやっと気付いてくれたのか「おはよう」とだけ声を投げかけてくれた。(え?今気付いたの・・・?)

「おはよう・・・ございます・・・」
「例の通り魔事件の書類と新聞記事だ。知り合いから今朝受け取った。」

 ブレアさん、今朝って・・・今朝って・・・まだ日、昇ってませんよ!?

「いよいよだな。」
「何がですか?」

 心の底でのツッコミは俺だけの秘密にしておこう。(皆さんも内緒ですよ?)


「お前だけだよ。」
posted by 姉 at 13:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月10日

第2話 共通点〜イリヤ〜

 皆さん、こんにちわ。
 新米騎士・アリスフィア=クルーニーです。
 俺は今、チョイ不良プリーストのブレア=アストールさんと一緒に旅をしています。
 久々に故郷に帰ってみたら近所のおばさんに叩かれて(それはもうパコーンっていい音してたんだってさ。)

 ブレアさんは見ているだけなら綺麗な人。(口を開けば・・・うん。)
 それに、頭も良くて頼りになる。
 オマケに俺よりちょっと強かったりもした(ショックだよなぁ・・・)

「ブレアさん、どこいくんですか?」

 ちなみに、現在地は砂漠の街、モロクだったりする。
 ポタ使えばいいのに、ブレアさん、一々歩くぞ。なぁんて言うもんだから、イズルードからここまで歩きで来た。
 俺、鎧だから中蒸れるんだよなぁ・・・。

「文句言うんじゃねぇよ。俺には他にもお・仕・事。ってもんがあるんだよ。」

 ブレアさんも暑いんだな。
 法衣の袖を捲り上げてるもんなぁ・・・。
 肌白いな・・・焼けたら勿体無いな・・・って俺、なに考えてるんだろ。これじゃ変態じゃん。

「に、しても、暑いですね。」
「そんな鎧付けてんだ。当たり前だろ。良かったな。ポタ出てすぐに灼熱じゃなくて。」

 はい。
 また馬鹿でも分かってしまいました。
 ブレアさん、俺がこの暑さに慣れるようにって、わざと歩きで来たんだ。
 周りを見るとポタで来たであろう冒険者の数々はこの暑さに耐え切れずにバテにバテているようだ。
 あれを自分に重ねるのが怖い・・・。

「おい、宿取るぞ。」

 スタスタを歩いていくブレアさんを追いかける俺は他者から見ても暑苦しかったことだろう。(みんな、ゴメン)

宿に入った俺たちは
posted by 姉 at 13:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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