2008年06月19日

第6話その3 お使いの先で

 それぞれがスキに行動しているお昼前。
 アリスはふと疑問に思っていることを口にした。

「あの、依頼とかってないんですか?」

 アリスの問いかけにリビングのソファ。朝と変わらない位置で本を読んでいた綾兎が答えた。

「今はね。君の護衛依頼が騎士団とイズの皆さんから入っているだけだから、問題はないよ?」

 「そうなんですか」と頷くとテーブルにあるお菓子に手を伸ばす。
 アリスにとっては見たことがないモノ。

「アマツの菓子だと。煎餅とかっていうらしいぞ。」

 手に取ったはいいが、どんなものかわからないものに口をつけるのにはためらいがあった為かたまっていたアリスに声をかけたのは外で遊んでいたからなのか、ティオを首にぶら下げたアストが庭に通じる扉の前にいた。

「美味しいよー♪」

 アストに遊んでもらって上機嫌なティオ。
 厨房から漂ってくる匂いに反応し、アストの首から離れ厨房に駆けていった。
 それから少しすると駆け戻ってくるティオ。
 その手にはお使いリストらしき紙を持っている。

「アリスにーちゃんと一緒にいっておいでって言われたの!行こう!」
「それはいいですね。アリス君、ティオをお願いしますね。」

 ティオに手を引かれるままにアリスは「行ってきます」と一言残してティオと仲良くお使いに出かけた。


「えーと・・・」

 お使いリストを見ているティオ。それを後ろから覗き込み、夕飯の材料なんだな、と理解をしたアリス。

「うん、じゃぁ、まずはぁ・・・野菜からだね。」

 そういうとアリスの手をグイグイ引っ張りながら歩いていくティオ。
 アリスもされるがままにあるいていく。

「おや、ティオ、今日は誰とお使いだい?」
「あのねぇ、新しくギルドに入ったアリスお兄ちゃん。」
「そうかい!アリスって女みたいな名前だねぇ・・・」
「あ、アリスフィア=クルーニーっていうのが本当の名前です。」
「おやま。そうなのかい。」

 八百屋についたティオとアリスを迎えてくれたのは豪快な女性。
 自分の故郷の世話焼きおばさんを思い出したアリスは故郷と同じ運命をたどらないようにしようと心に決めた。
 ティオから渡されたメモ用紙を手に野菜をほいほいと籠に入れていく女性。
 名前はイリシア=ハーマイムというらしく、昔、クルセイダーをしていたというからアリスにとっての大先輩にあたる人になる。勿論、イリヤにとってもだろう。

「ほい、これで全部だよ。持てるかい?」
「3籠・・・ティオ、一つ持てる?」

 八百屋のおばさんから渡されたのは3つの籠だった。
 どう見ても、ティオには重いものだ。
 そう判断したアリスは籠をもう一度イリシアに籠を渡しながら、「後で取りに」と言いかけると、アリスの脇から手が伸びてもうひとつの籠を受け取った。

「残りは俺が持ってあげるね」

 突然現れた人物に対して目を見開いて驚いているアリス。
 その人は少年のような風貌に人懐っこい、ティオに似た笑みを浮かべアリスの斜め後ろに立っていた。

「ラース!」

 ティオが嬉しそうにその名を呼ぶと「あぁ」と笑って返すラース。本名をラスファリー=アラムウェル。
 「まだお使いあるんでしょ?」と促すラースにティオは元気よく頷きアリスとラースの2人を従えて歩き出す。

「初めまして。俺はララスファリー=アラムウェル。ラースでいいよ。」
「アリスフィア=クルーニーです。アリスでかまいません。」

 どう見ても年下なのに、敬語を使ってしまうのは朝のオヤツタイムに聞いた彼の事実というものがあるからだと思う。
 ラースの出現にますます機嫌をよくしたティオは鼻唄まで唄っていた。
 それから肉屋やら素材屋やらを回ってから屋敷に戻る頃には丁度お昼時。
 程よい空腹感を覚えながら帰宅すると蘭華が笑顔で出迎えてくれる。

「ラース!まぁ・・・お昼食べる?」

 なんとも、的外れともいえる対応だ。

「貰おうかな」

 それに笑顔で返すラース。
 蘭華はもう一食分準備するために厨房に戻っていった。
 それからはやんややんやとラースを歓迎しながらの昼食となり、例のごとく、食後のオヤツタイムとにぎやかなまま過ぎていった。



〜あとがき〜
 6話終りです。
 次は同日の午後を書こうと思います。
 戦闘シーンもちょい混じりになりますが、そういったのは苦手なので期待しないでください><

 6話のメインタイトルは『平和な時間』ってところで^^;

 ラースについてはあとからプロフを書いておきますのでそれまでお待ち下さい^^;
 ではでは、アスでしたー
posted by 姉 at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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