2008年06月18日

第6話その2 疑惑の人

 全員、食事を終えると、蘭華は厨房、ティオとアストは庭にハーブを摘みに、リビングに綾兎、イリヤ、ブレア、アリスというメンバーに分けられた。
 少しすると、厨房から少し甘い香りが漂ってくる。
 アリスが不思議そうに首を傾げるとコーヒーを入れたマグカップを載せたトレイを持ったアストとそのまだ小さな手にジャムとバターの入った瓶を持ったティオが厨房から現れた。

「アリスってコーヒーとハーブティー、どっち?」

 アストに聞かれ、アリスは少し困ってしまった。
 実は飲めはするが、紅茶やコーヒーといった類はあまり得意ではないアリス。正直に打ち明けておいた方が身のためだろうかとうんうん唸っていると、助け舟を出すかのようにイリヤが口を挟んだ。

「アリスにはティオと同じで構わない。」
「あ、わかった。ティオ、アリス兄ちゃんに、お前と同じの持って来てやれ。」
「うん!」

 イリヤの声に頷いたアストは隣でテーブルにジャムとバターを置いていたティオに声をかけると、ティオはよい子のお返事をしてトタトタと厨房に掛けていった。


 アリスはその小さな背を見送った。
 ブレアがマグカップをアストから受け取ると「アリス」とアリスに呼びかけた。

「ここの屋敷、ギルドルールその1。余程の理由がない限り皆で朝食、オヤツは一緒にとりましょう。」

 いきなり言われ目を点にしてしまったアリス。
 それに続けてイリヤ、綾兎、アストと口を開いていく。

「余程の理由というのは任務が入っていたり、怪我、病気で気分の優れない時だ。」
「ルールその2。食事、オヤツの注文はその時間の3時間前までにいいなさい。これは蘭華の決めたものですから、破ると怖いですよ
?」
「その3。出かける時は誰かに報告してから行きましょう。ティオの教育の為にも俺たち大人が守らなきゃならんからな。」
「「「その4。家族同然。遠慮は無用。」」」

 3人の声が揃ったところが妙におかしくて、アリスは思わず噴出して笑ってしまった。
 その姿をみた3人もクスクスと笑い始めた。

「楽しそうね。今日の食後のオヤツはスコーンよ。」
「うまそー。」
「アリスおにーちゃん、ミルクでよかった?」

 蘭華が厨房から戻ってくる。手にしているお盆には山のように詰まれたスコーンがあった。
 ティオがトテトテと少し危なっかしい足取りでミルクを入れたマグカップを持ってくる。アリスがそれを受け取り、礼を言うとティオは少し照れたのか頬を紅潮させ蘭華の方に駆け戻っていった。
 皆がその姿をみてクスクスと微笑を零す。
 
「綾兎さん、ハーブティーです。」
「ありがとう。」

 ハーブティーのカップを受け取り、綾兎はソファに腰掛けるとティオを呼び、その膝の上に座らせスコーンを渡してやる。
 「イチゴジャムとってー」とニコニコ笑顔でねだるティオは上機嫌だった。

「あの、さっき、ラースさんって・・・」
「あぁ、ラースか・・・本名ラスファリー=アラムウェル。俺たちのまぁ、昔ながらの知り合いでな。」

 アリスは食事の前に聞いた名前の人物が少し気になり隣で椅子い腰掛けていたブレアにそっと尋ねてみた。

「ラースはマスター達の知り合いだからなぁ・・・」
「ラースは昔私がまだ10代の頃にお世話になった剣士さんよ。」
「へぇ・・・マスターが・・・」

 そこでアリスには新たな疑問が生じた。
 同じくらいかなと思っていた彼女。いったいいくつなんだろうと・・・。

「不思議な剣士でね。騎士になってもおかしくないのに、ずーっと剣士のままの人なのよ。きっと転生はしてるんだろうけど・・・ロードナイトになる気は全くないみたいなのよ。見た目もあった頃からまーったく変わっていないし・・・私が最初に会ったのが14の頃だからもう12年前になるのに・・・」

 14+12・・・=26?
 アリスの中で単純な計算式が完成した。

「26!?」

 思わず、というか、間抜けも程ほどにしろよといいたくなるくらいの勢いでアリスは叫んでしまっていた。

「えぇ。私は26になるわ。」
「てっきり同じ年頃かと・・・」
「あらまぁ・・・そんなに若く見えていたの?嬉しいわねぇ」

 ほわほわと花が空気中に舞っている錯覚を見てしまったアリスはコシコシと目を擦った。
 が、やっぱり蘭華の周りに花が舞っているように見える。
 ブレアを見ると「慣れろ」といわんばかりの態度だったので、慣れるしかないのだと、アリスは悟った。

 これは穏やかな午前のお話。



〜あとがき〜
 えーと、新キャラ出てませんね・・・7話くらいからもう戦闘シーンとか入れちゃう予定なので、この6話でまったり和ませたいなぁという目的で書いてますが・・・
 まとまらないw

 6話は次で終りになりますので、これを呼んでくださっている方がいらっしゃいますれば、どうぞ、もう少しお待ち下さい。
 それではアスでしたー
posted by 姉 at 17:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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