2008年06月16日

第6話その1 朝の会話

 月明かりが照らし出している天篠邸の庭。
 そこにADAGIO、マスターの天篠蘭華が佇んでいる。

 時折月を見上げる表情は憂いを帯びていた。
 そんな彼女を今の窓から明かりも灯さずに見つめているのは彼女の夫、天篠綾兎とギルドメンバー・イリヤ=クインシー。
 この3人の過去は、結して、明るいものとは言えない。

「あいつ・・・まだ気にしてるのか・・・?」
「えぇ・・・私たちだって・・・気にしてないと言えば、嘘に・・・なりませんか・・・?」

 綾兎、イリヤの二人が話していると、気が済んだのかどうかは分からないが、蘭華が屋敷内に戻ろうと歩を進め始めた。

「部屋に戻ろう。蘭華が怪しんでしまう。」
「分かっています。おやすみなさい。」

 簡単な挨拶を交わし、2人は部屋に戻る。
 綾兎がベッドにもぐりこみ、少しすると、部屋の扉が静かに開き、蘭華が入ってくる。
 ベッドの近くまで来ると、綾兎が眠っていると思っている蘭華は、綾兎に向け、静かにつぶやいた。

「ごめんなさい」

と。
 それを聞いた綾兎は何も言えず、そのまま狸寝入りを通し、蘭華がベッドに入ってくると、寝ぼけたフリをして、そのまま腕に抱きこんだ。


翌朝。
posted by 姉 at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説本編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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